大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)84号 判決

被告人 徳山富宏

〔抄 録〕

論旨第一点について。

原審記録第十一丁乃至十四丁に検察官冒頭陳述要旨と題する書面が編綴されていることは所論の通りである。しかし該書面竝その前後に編綴されている書類を仔細に点検すると、該書面の前に第一回公判調書(手続)、その後に証拠関係カードが編綴されていて該書面と第一回公判調書との間、該書面の各葉間、該書面と証拠関係カードとの間には、いずれも第一回公判調書の作成者である裁判所書記官補森下多喜雄の職印である東京地方裁判所書記官補印が押捺されてあり、しかも右公判調書中に検察官の冒頭陳述、別紙冒頭陳述書記載のとおりとの記載があることを認めることができるのである。従つて前記の検察官冒頭陳述要旨と題する書面は、原審検察官が原審第一囘公判期日において刑事訴訟法第二百九十六条に依り証拠調のはじめに、証拠によつて証明すべき事実を明らかにした陳述を調書に記載するに代えて、これを引用し調書に添附して調書の一部としたものであると認められるのであつて、かかる書面を調書に引用してその一部とすることはもともと刑事訴訟規則第四十九条の容認するところであるのみならず、前記書面の内容に所論のように証拠により証明すべき事実を明らかにする限度を超えて偏見又は予断を裁判所に抱かしめる虞ある事項を記載してあるものとは認められないのである。しからば前記書面を訴訟記録に編綴していることは所論のように証拠能力を欠く書面を編綴したものではないのであるから、原審の訴訟手続は所論のように法令に違反したものではなく、論旨は理由がない。

註 本件破棄理由は、量刑不当。

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